「戦国の近江」地域の魅力発信事業 シンポジウムⅣ「織田信長の登場」に行ってきました

滋賀県教育委員会は、10月4日(木)に東京・国立オリンピック記念青年総合センターで、滋賀県の魅力を発信するためのシンポジウムを開催しました。200名を超える聴衆が参加し、平日にもかかわらず大変な賑わいでした。

今年で4回目となる東京でのシンポジウムは、滋賀県が行なう地方創生応援事業の一つです。首都圏で滋賀を体感できる効果的な魅力発信だけでなく、1.県産品の販路拡大や商品開発のビジネスチャンスを広げる、2.観光誘客や移住交流、企業誘致等、県内に投資効果を呼び込む営業活動を行う、ための事業で平成30年度は約1億7000万円の予算を投じています。

東京・中央区には総合案内を兼ねたアンテナショップやレストランスペースからなる「ここ滋賀」が昨年10月にオープンしています。県の首都圏でのプロモーション活動は下地が整いつつあります。

会場となった渋谷区にある国立オリンピック記念青年総合センター

 

シンポジウムの内容は、織田信長を題材にし「織田信長の虚像と実像」(堀新氏・共立女子大学)と「織田信長と近江」(松下浩氏・滋賀県教育委員会)をテーマに講演と、2人の対談で3時間にわたり行なわれます。

司会を務めた市の職員は、冒頭で「滋賀県の魅力を知ってぜひ足を運んでもらいたい。できれば宿泊で。さらによろしければ永住で」と笑いを誘い場を和ませます。一通りの説明が終わると、いよいよ講座が始まります。

説明の様子と今回の資料

 

まずは堀氏の講座からスタートです。信長が使った桐紋に注目し、文献史料や服飾資料、考古資料を紹介します。そして信長の実像は意外に保守的で、権力を享受できるバランス感覚がある人物としてとらえる独自理論を展開します。

堀氏の講座風景と資料の一部

 

続いて松下氏の講座です。信長と近江の関係を4期に捉え、それぞれについて説明します。特に安土城築城を行なった4期は、信長自身の天下の範囲が拡大したとし、天下人の城である安土城の意味について語ります。さらに信長にとっての近江と、近江にとっての織田信長について解説を加えます。

松下氏の講座風景と資料の一部

 

休憩をはさみ、両氏の対談が始まります。天下という言葉の範囲について議論を重ねます。また松下氏が堀氏に対して、時間の関係で講座中に割愛された信長の大陸征服構想の提唱について触れ、フロイスの史料をどう扱うかによる、と前置きしたうえで「大坂城に居住したかはともかく、秀吉が行なった明討伐は信長も考えていた」と明示します。

さらに、発掘調査に加わった経験のある松下氏に、堀氏が質問を立て続けに繰り返す姿も。返答の中で松下氏は「城下町の位置から考えると、百々橋口から總見寺に至る通路が通用口である」との見解を示しています。

対談の風景と今回のパンフレット

 

滋賀県には約1300ヶ処の城跡があり、戦国遺跡の発信を県の魅力事業の一つと位置付け、情報発信に注力しています。

今後の予定として、10月中に東京で2回の講座(近江へのいざない:26・27日)と、11月から翌3月まで県内で連続講座(近江の城郭~信長の城と戦国近江:月1回)が続きます。来年度も東京でのシンポジウムを継続するとのことです。